読み切り 

 作:ぴこたんさん

ゆらゆらぷかぷか海の上
ゆらゆらたゆたう船一隻
ゆらゆら揺れてる船の上

こっくりこっくり舟をこぐ1人のパイラーと一匹のジョニ丸が見張り台におりました。

いくら疲れてるからって居眠りはヤバイでしょ・・・。

そんな1人と一匹の姿を心配そうに甲板から見上げるのは
パイラーに憧れる1人の少女、カリンヌちゃんでした。

確かに最近妙にパイラーは忙しくて、寝る暇も無く走り回ってはいたけれど、
どう転んでも彼らは海賊。
しかもパイラーは下っ端だから、あんな姿を他の誰かに見られたら・・・

「・・・今夜はパイラーのハンバーグが食べられるかもしれないわね・・・」

苦笑いをしながらポツリと呟くと、見張り台の上のパイラーはさらにコクリと
頭を落としてしまいました。

「ハンバーグがどうしたって?」
「Σうぁ・・・う・・・ウォー・・・!?」

突然聞こえた声の方を振り向くと、
そこには赤のバンダナを巻いたウォー君の姿がありました。

「何だ?ハンバーグが食べたいのか?」

どうやらウォーはカリンヌの独り言を聞いていたようです。

「え・・・あ・・・いや・・・別に・・・」

なんとも歯切れの悪い返答。

「い・・・一体いつからそこにいたの・・・?」

恐る恐る尋ねる少女。

「さぁな?お前が自分で考えな」

その反応を楽しそうに笑う青年。
そしてそんなことが自分のすぐ下で起こっている事も知らずに眠りこける少年。

「あ〜・・・俺も食いたくなってきたなー・・・」

しばらくの沈黙の後、それを破ったのは青年の方でした。

「・・・何を?」
「ハンバーグ。」

即答する青年。カリンヌは額に汗が流れるのを感じました。

「ん〜・・・料理長に頼んで作ってもらうか・・・あ、でも材料が無いな・・・」

唖然とするカリンヌを尻目に、ウォーはブツブツと計画を立て始めます。

「そういや近頃、人切ってねぇなー・・・」

その言葉にカリンヌの肩がピクリと反応しています。

「・・・そういや今日はパイラーを見てな・・・」
わ・・・私っっ!!

しばらく固まっていたカリンヌが突然大きな声を上げました。

「私っっ・・・ぱっ、パイラー探してくる!!!」

カリンヌは顔を真っ赤にさせながら、ウォーの目の前から一目散に消えて
見張り台へと駆けていきました。


「・・・イラー・・・パ・・・ラー・・・パイラー・・・!!」
「ふ・・・ぁ・・・?」

見張り台の上に辿り着いたカリンヌは、ガクガクとパイラーを必死に揺り起こしました。

「起きてパイラー!!ハンバーグにされちゃうわよっっ!!」
「うぁ・・・はんばーぐ・・・?たべたい・・ですよぅ・・・ふぅぅ・・・」
「その材料にされるんだってば!!」

まだ寝ぼけるパイラーの頬を2、3回ペチペチと叩くと、
少年は瞼を重たそうに持ち上げました。

「あ・・・カリンヌさん・・・?・・・あれ、僕寝ちゃってたですか?」

ゴシゴシと自分の目をこすって周りを見渡して、少年はしばらく考えて

「・・・Σぁあっ!!うわわ大変です!!船がおっきー凧さんに襲われちゃったです!
そんでそんで蒼さんと朽葉さんが包丁持ち出してっっ・・・!!」
「あーっ!!もう!しっかりして!!それは夢!!船は無事!!OK?」

少女の肩を掴んで必死に自分の夢の中での船のピンチを伝えようとする憧れの君に、必死に現実の状況を伝えようとする少女。

「え・・・夢だったですか・・・?」

やっと現状を把握したパイラーは、自分のほっぺをつねって確かめています。
そんな少年の姿を見つめながら、少女は小さな溜息をついて周りを眺めます。

「カリンヌさん!」

その呼びかけに少女が振り向くと、そこには

「心配してくれたんですよね」

満面の笑みで自分を見つめる

ありがとうございます。

少 年 の 顔 が―――――――

ゆらゆらぷかぷか海の上
ゆらゆらたゆたう船一隻
ゆらゆら揺れてる船の上
その見張り台の上には・・・?

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顔を真っ赤にしながら何かを話す少女とニコニコしながらその話を聞く少年を甲板から見上げるのは1人の青年。

「やってんなー・・・」

半ばあきらめたような顔をしながら2人の姿を見守っています。

「あんな反応したらパイラーがどこにいるかすぐに分かるだろーに・・・
 にしてもあれぐらいしねぇと動かねぇとは・・・もどかしいったらないっつーの。」

どうやらウォーはカリンヌの恋心に気付いていた模様。結構優しいところがあるようです。

「・・・あとで山ほどの雑用押し付けといてやるからな・・・居眠りの罰だっっ・・・」

この後のパイラーとカリンヌの運命は、
ウォーの含み笑いに込められていたかは定かではないことです。

終わり